焼酎甲類。
どれも同じに見えますが、実はちょっと違うんです。
色々のみ比べてみないとわからないレベルなんですが違うんです。
実はわたくし、自慢じゃないですが焼酎甲類を70種類近く飲んできました。
どれも同じに見えますが、その違いを個人的主観をもとに教えちゃいます。
その① 原材料を見てみよう。
お酒を発酵させるのに必要なのは「糖分」。
効率よく安価に発酵させる原材料は何かといえば、No1は「サトウキビ糖蜜」。
これは砂糖の精製過程においてできる副産物であるサトウキビの搾りかすみたいなもんです。
何と言っても安価に大量に仕入れることができますので安価なお酒を精製するにはうってつけの原料と言えます。
焼酎甲類が安価に購入できるポイントはこの「サトウキビ糖蜜」を主原料にしていることが所以しております。
サトウキビ糖蜜の香りは「お砂糖の香り」。
このサトウキビ糖蜜のみで作られた焼酎甲類は言わば「砂糖水」の味に近い香りがします。色んな割材で割っても「ほんのり甘くなる」程度の味の変化しかなく、割材の味を殺さない作用が発生します。
そして9割がたの焼酎甲類のベースがこのサトウキビ糖蜜製の焼酎となります。
サトウキビ糖蜜のみを原材料とした焼酎の代表格は大容量PETで売られている焼酎。
例えば上記のようなPB焼酎なんかが主に該当します。
・安くて、どんな割材で割っても原料の癖がないので原酒のテイストが気にならない。
・炭酸やお湯割りでも全く癖がないので食事の邪魔をしない。
こういうところが魅力だと思います。
一方、ほかの原材料を使用して作った甲類焼酎を混ぜているパターンもあります。
代表格は「麦」。
旨味やコク、香ばしさなどが立った香りがします。分かりやすく言えば「麦焼酎の麹の香りがしないバージョン」。
これがサトウキビ糖蜜製の焼酎にブレンドされると、味わいに旨味やコクが添加されていきます。
このあたりの代表格はアサヒビールのSUN燦。
麦由来の旨味を感じつつ、焼酎甲類ならではのスッキリ感も感じられます。
この辺りはロックやソーダ割りがいい。
他には「トウモロコシ」。
まろやかな甘みが際立った味わいになります。サトウキビ糖蜜の甘さを「シャープ」というならば、こちらは「マイルド」。
サトウキビ糖蜜製の焼酎にブレンドすることでより、香りがより複雑かつマイルドに変化していきます。
このあたりの代表格は、サントリーPB焼酎やサッポロ焼酎
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まろやかな甘さが立ちます。
お茶系で割ったりすると旨い印象がありますね。
また「米」も重要。
お米が原料のお酒は「日本酒」や「米焼酎」。共通点はフルーティーな香り。
お米が原料の焼酎がブレンドされることによりフルーティーな香りがかもし出だされます。
代表格は、グランブルーやトライアングルインディゴ
どちらもフルーティな香りが特徴。
ロックでもいいんですが柑橘との相性がいいのでレモンサワーにはベストマッチですね。
これらを複数ブレンドすると、味に深みが出ます。
代表格が宝焼酎。
味に深みが出て旨い。
この辺りはブレンドの妙も生きているのだと思います。
焼酎の老舗ならではの強みですね。
最後に「サトウキビ糖蜜を使用しない」パターン。
焼酎甲類に近い「ウォッカ」の原材料は、小麦・大麦・ライムギ・ジャガイモなどの穀物であり、基本的にサトウキビ糖蜜を使用しません。(まあロシアとかそういう地域のお酒なのでサトウキビが取れないのも原因だと思いますが。)
サトウキビ糖蜜由来の「砂糖水」を思わせる甘い香りを含まないお酒になりますので、テイストは穀物のもつ風味が生かされたテイストになります。
代表格はサントリー「SUPER樹氷」。元々サントリーが焼酎の免許を持たないときに焼酎ブームが来たため止む無くテイストの近い「ウォッカ」に模して「ジャパニーズウォッカ」の代名詞で売り出した1本。
焼酎甲類の中でも限りなくウォッカに近いクリアでドライな1本。
他にも、「桜の葉」を使用したもの、「酒粕」を使用したものなど色々な種類があります。使用原材料でテイストに大きな変化が出ますので注意してみてみてくださいね。
その② 割水やろ過工程は重要
焼酎甲類に似たようなお酒として「ウォッカ」が代表格に上がります。
ウォッカの特徴は、「白樺の炭で濾過する」という工程が加わること。
ろ過工程は雑味を排除し飲みやすさを増します。
ろ過工程にこだわったメーカーといえば「メルシャン」※キリンビール。
備長炭ろ過工程の入った焼酎甲類は雑味が抜けてさらにスッキリとして飲みやすい。
代表格はこちら
さらに「水」にこだわると雑味が減りさらにスッキリとしたテイストに仕上がります。
ミネラル分の多い水は雑味をつくる。軟水こそが良い酒をつくる。これは酒造りの鉄則です。
焼酎甲類の中でも、キンミヤは製造工場内の井戸水が「超軟水」ということもあり、非常にスッキリとしたテイストに仕上がっていることは有名です。
他にも、「純水」いわゆるミネラル分を全く含まない水で作ることで同様のすっきりとしたまろやかなテイストに仕上げることができます。
代表格は大五郎やピュアパック。ロングセラーには訳がありますね。
やっぱりお酒の原材料の一番多い成分は水。水へのこだわりは非常に重要ですね。
その③ ブレンドされているお酒
焼酎甲類はテイストが無個性な分、ブレンドするお酒の力で味わいに大きな変化が出ます。
ブレンドするお酒の代表格が「樽貯蔵熟成酒」。麦等の原材料でできたお酒を樽に寝かせたもの。ウィスキーや熟成焼酎を思わせる樽の香りやまろやかなテイストが特徴。
ブレンドする熟成酒の分量でお酒に強い個性が出ます。
代表格は宝酒造製品。
宝極上・純・レジェンド。それぞれ樽貯蔵熟成酒の配合分量で味に大きな変化が出ております。
シャープでクリアな極上。樽貯蔵熟成酒3%の配合でこの味の違い。
黄金比率。最強ロングセラー純。樽貯蔵熟成酒13%配合
もはや焼酎甲類の域を出た。レジェンド。樽貯蔵熟成酒20%配合
最強の位置づけにあるのが、オエノン「ビッグマンプレミアム」。
樽貯蔵熟成酒40%配合のプレミアムな一本。原材料はサトウキビ糖蜜のみなのでどうしても糖蜜感は出てしまいますが、それにしてもウィスキーに近い味わい。これも甲類とはいいがたいおいしさ。
他にも、焼酎乙類でブレンドされた焼酎甲類も存在します。
代表格は、おなじみのサッポロビール「トライアングルブラック」。
トライアングルブラックの原材料は「サトウキビ糖蜜」「麦」「トウモロコシ」。
基本この3つのブレンドなので「トライアングル」の意味のようですが、実際は「糖蜜」「トウモロコシ」「大麦」由来の3種類の焼酎甲類に、「裸麦焼酎」「大麦焼酎」の2種類の焼酎乙類がブレンドされているので、実際は5種。トライアングルじゃなくてペンタゴン!
味わいはクリアな麦焼酎。ロック・お湯割りがいい。
いかがでしたでしょうか?
皆同じようで実は違う。焼酎甲類の世界。
「気になるな」と思ったらちょっと手にとってみてはいかがでしょうか?
焼酎甲類のいいところは「そうはいっても他のお酒より無個性」なところ。
口に合わなかったら、お茶類やハイサワー・ホッピーといった割り材で割ってしまえば何事もなかったかのように飲めてしまいます。
何より安価で糖質ゼロ。酔い覚めもよいし、焼酎乙類のように翌朝口が「麹臭い」ということもない。
飲み方もいろいろ。その日の気分で試せます。
ぜひお試しあれ。